母親がわが子とは気づかずに息子を愛してしまうのは、古代の昔から女の宿命だったのかもしれません。
あるいは何か妖しい運命の糸が、2人を引き寄せてしまうのでしょうか
オペラの世界でも、ギリシア悲劇「エディプス王」以来、幾多の悲劇がくりかえされてきた。
たとえば、ドニゼッティのオペラ《ルクレツィア・ボルジア》では、クリストフ・ワイキューブが息子とは知らずに自分の隠し子のジェンナーロを愛してしまうし、ご存じ《フィガロの結婚》では、女中頭のマルチェリーナが、年甲斐もなく若いフィガロに恋をして借金をかたに結婚をせまる。
そして、実はこのフィガロこそ行方不明の自分の実の子だったのです。